序とAuthor's Note

today 2016(平成28)年8月21日(日)旧7月19日
100years ago 1916(大正5)年8月21日(月)旧7月23日

 前にも書きましたが、この夏は、宇治拾遺物語とThe Fault in Our Starsをカワリバンコに読んで過ごしているところのcozyです、こんばんは。それぞれの本文に入る前の部分、序とAuthor's Noteに面白いことが書いてあります。だいぶ長くなってしまいますが、全文を引用します。

【宇治拾遺物語 序】
 世に宇治大納言物語といふ物あり この大納言は隆国といふ人なり 西宮殿の孫俊賢大納言の第二の男なり 年高うなりては暑さを侘びて暇を申して五月より八月までは平等院一切経蔵の南の山際南泉房といふ所に籠り居られけり さて宇治大納言とは聞えけり
 髻を結ひ分けてをかしげなる姿にて筵を板に敷て涼み居侍りて大なる団扇をもてあふがせなどして往来の者高き卑しきを云はず呼び集め昔物語をせさせて我は内にそひふして語るに従ひて大きなる双紙に書かれけり 天竺の事もあり大唐の事もあり日本の事もあり
それがうちに貴き事もあり哀れなる事もあり穢き事もあり少々は虚物語もあり利口なる事もあり様々やうやうなり
 世の人これを興じ見る 十五帖なり その正本は伝はりて侍従俊貞といひし人の許にぞありける いかになりにけるにか 後にさかしき人々書き入れたる間物語多くなれり 大納言より後の事書き入れたる本もあるにこそ 
 さるほどに今の世にまた物語書き入れたる出で来たれり 大納言の物語に漏れたるを拾ひ集めまたその後の事など書き集めたるなるべし 名を宇治拾遺の物語と云ふ 宇治に残れるを拾ふと付けたるにや また侍従を拾遺と云へば宇治拾遺物語と云へるにや 差別知り難し 覚束なし
(現代語訳)
 世の中に宇治大納言物語というのがある。この大納言とは源隆国といって、西宮・源高明殿の孫、俊賢大納言の次男のことだ。年をとってからは、暑さを嫌って休暇を申し出、5月から8月までは(宇治にある)平等院一切経蔵の南の山際にある南泉房という所にこもっておられた。なので宇治大納言と呼ばれている。
 髪の毛を頭の上で束ね、ヘンチクリンな格好でムシロを板に敷いて涼み、大きなうちわで扇がせたりしながら、道行く者を身分を問わずに呼び集めては昔話をさせ、自分は内で横になって、話すままに大きなノートにお書きになった。インドの話、中国の話、日本の話、中には、尊い話、恐ろしい話、感動話、汚い話、少々は作り話、面白い話もあり、いろいろさまざまである。
 世間の人は、これを面白がって読んだ。全部で15帖ある。その原本は侍従俊貞という人のもとにあった。その後どうなったのだろうか。後に賢い人々が書き込んだので物語が多くなった。大納言の時代より後の話を書き込んだ本まである。
 そうこうするうち、現在また物語を書き入れたものができた。大納言の物語からもれた話を拾い集めたり、その後のことなどを書き集めたりしたのだろう。名を宇治拾遺物語という。宇治に残る話を拾うという意味でつけたのだろうか。それとも、侍従を拾遺と言うから宇治拾遺物語と言うのか。どちらかわからない。はっきりしない。

【The Fault in Our Stars Author's Note】 
This is not so much an author's note as an author's reminder of what was printed in small type a few pages ago:This book is a work of fiction. I made it up.
Neither novels or their readers benefit from attempts to divine whether any facts hide inside a story. Such efforts attack the very idea that made-up stories can matter, which is sort of the foundational assumption of our species. 
I appreciate your cooperation in this matter.
(邦語訳)
 これはまえがきというほどのものでなく、前のページに小さい文字で印刷されている作者の注意書きだ。この本はフィクションだ。私が書いた。
小説にとってもその読者にとっても、物語の中に事実を推測する試みは利益をもたらさない。こうした試みは、作られた物語も重要でありうるという我々の基本的な仮説の一種を批判するものだ。
 私は、この問題での読者の協力に感謝する。

 ということで、両方とも、作りもの(フィクション)と事実(ノンフィクション)と作者・編者とのイワクイイガタイ微妙な関係を表しているのかなと思います。時空が隔てられたコトバ(古語と英語)で書かれた読み物を介して、そんなことを考えさせられる夏でしたとさ。

20160821
序とAuthor's Note

【今日の1本】
 きっと、星のせいじゃない ジョシュ・ブーン(35)監督 2014年
 The Fault in Our Starsを原作とする映画作品。なぜか原題と邦題の意味が真逆になっています。ちなみに和訳本のタイトルは「さよならを待つふたりのために」です。
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